上代・下代とは?ネットショップ開始前に覚えておきたい専門用語と仕入れ方法を解説

上代・下代
ネットショップ(ECサイト)を始めようと思うと、上代や下代など読み方もわからないような専門用語が多く「難しい」と感じる方も少なくないでしょう。メーカーや卸業者との交渉や仕入れサイト内での取引など、専門用語を耳にする機会は多いため「聞き覚えがあっても意味はよくわからない」では、ネットショップ運営に支障をきたすかもしれません。
また上代・下代以外にも、参考価格やオープン価格、掛け率など、さまざまな専門用語があります。

ネットショップ開始前に覚えておきたい専門用語を解説するとともに、商品の仕入れ方法も紹介します。ネットショップを始めようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。

商品を仕入れる際に使われる専門用語を解説

ネットショップに必須の商品の仕入れ時には、さまざまな専門用語が飛び交います。ネットショップを始めるにあたって、ぜひ覚えておきたい4つの専門用語を解説します。

上代(じょうだい)

上代とは「商品の消費者への販売価格」を指す言葉。メーカーや卸業者が商品の販売価格として設定しています。上代は定価やメーカー希望小売価格、参考上代などとも呼ばれます。しかし厳密には、以下のような違いがあるので覚えておきましょう。
  • ●定価:国やメーカーによって決められている販売価格。小売業者の一存で価格変更(値上げ・値下げなど)は基本的に不可能です。
  • ●メーカー希望小売価格:メーカーが設定した希望販売価格。あくまで小売業者に対する希望として設定されている価格なので、定価のような拘束力はありません。
  • ●参考上代:メーカー希望小売価格と同様。単に上代と言われることもあります。
  • ●オープン価格:小売業者が自由に決められる販売価格。メーカーは小売業者に卸す値段だけ設定しています。主に家電製品に使われます。
同じ価格を表す言葉でも微妙な違いがあるため、仕入れの際は定価なのか、メーカー希望小売価格(参考上代)なのか、オープン価格なのか明確にしておかなくてはなりません。なぜなら定価の場合は値段を変更できませんが、メーカー希望小売価格やオープン価格なら、小売業者の一存で値段を設定できるため価格競争が可能だからです。

例えばファッションアイテムをセール価格で販売したり、仕入れた商品を他店より安く販売したりなどが挙げられます。また上代は基本的に消費税を含みませんが、場合によっては消費税込みの可能性もあるので、忘れず確認が必要です。
上代とは、商品を消費者へ販売する際の価格だと覚えておきましょう。

下代(げだい)

下代とは「卸値・仕入れ価格」を指す言葉。メーカーや卸業者から、商品を仕入れた際の価格です。卸価格や仕入れ価格、仕切り値などとも呼ばれますが、基本的には全て同じ意味合いです。
下代はいくらで商品を仕入れたかを表すものなので、下代が低く上代が高いほど、利益は大きくなります。メーカーや卸業者から購入した金額に対し、いくら上乗せして販売するかがネットショップを行う上で重要な仕事です。

この下代は基本的に「上代×掛け率」で計算します。例えば2万円の商品を仕入れる際の掛け率が50%だった場合、下代は1万円となります。掛け率に関して詳しくは後述しますが、下代は仕入れ価格を表すと覚えておきましょう。

掛け率(かけりつ)

掛け率とは上代に対する下代の割合のこと。販売価格の何%の値段で、仕入れられるかを表しています。この掛け率は業界や取引先によって異なります。
また上代と違い、商品ごとに一律ではないのも特徴。取引先の実績や関係性、仕入れる量などによって変動します。

掛け率が異なれば、下代が同じでも最終的な利益に差が生じます。例えば同じ2万円の商品を仕入れる際であっても、掛け率が50%なら下代は1万円ですが、掛け率が40%なら8,000円で仕入れ可能です。

掛け率は条件や状況しだいで変動しますが、なるべく低い方が利益を出しやすくなっています。

発注単位

発注単位とは「注文を受け付けてくれる最低単位」のこと。具体的な単位はメーカーや卸業者によって異なりますが、いずれも最低数が決まっています。
例えば「1ダースから」「20万円以上から」など、個数や金額などで発注単位が指定されます。

上代の表記方法が複数に分かれている理由は?

上代の表記方法が複数に分かれている理由は?
仕入れの際に使われる専門用語を解説してきましたが、中には「なぜ上代は複数の表記方法があるの?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。「メーカー希望小売価格(参考上代)」や「オープン価格」など、わかりにくい表記をするのには理由があります。

かつては「定価」での表記が主流でした。しかし定価はメーカーや卸業者が、小売業者の販売価格を拘束する行為でもあります。例えば「安売りするなら卸さない」「指定した価格で販売させる」など価格を固定する行為につながりかねず、これらは価格競争を妨げるため独占禁止法に触れます。
そのため最近では書籍・雑誌・新聞・音楽などの著作物など、一部例外を除いて定価は使用されていません。

こうした背景から「メーカー希望小売価格」といった表記が登場しました。そして過剰な値引き合戦により希望小売価格が無意味になってきたため、オープン価格が登場。モデルチェンジによる型落ちなどで値崩れしやすい家電製品などでは、オープン価格表記が主流になっています。

公正取引委員会「知ってなっとく独占禁止法」2021年
https://www.jftc.go.jp/houdou/panfu_files/dokkinpamph.pdf (参照:2022-2-21)

ネットショップの商品を仕入れる5つの方法

ネットショップを始める上で覚えておきたい専門用語の意味がわかったところで、実際に商品を仕入れる方法を知っておきましょう。代表的な仕入れ方法は大きく5つ。それぞれ詳しく紹介します。

オンライン仕入れサービスを利用する

オンラインで仕入れできるサービスを利用する方法です。
サイトに会員登録するだけで利用できるので、手軽に始めやすいのが特徴。自宅にいながらパソコンやスマートフォンから、ネットショップで販売する商品を探せます。

例えば「NETSEA」や「スーパーデリバリー」などのサービスがあります。1つの仕入れサイトに登録するだけで、さまざまなメーカーの商品を仕入れられるので、商品数を大幅に増やせるのがメリットです。
また商品を1点から仕入れられるので、在庫を抱えるリスクを最小限に抑えられます。

ただし「商品の実物を確認できない」「誰でも仕入れられるため差別化しにくい」というデメリットがあります。特に後者は価格競争に陥りやすいという点で、大きなデメリットです。ネットショップのコンセプトを練ったり、オンライン仕入れサービス以外からも商品を仕入れたりと、差別化する工夫が必要です。

また海外サイトを使用すれば、競合と被らない独自の商品を仕入れやすくなります。ただし日本語が使えず不便な点もあります。オンラインで仕入れられるのは便利ですが、他店と差別化する工夫が必要です。

NETSEA「NETSEA」
https://www.netsea.jp/ (参照:2022-2-21)

スーパーデリバリー「スーパーデリバリー」
https://www.superdelivery.com/ (参照:2022-2-21)

卸業者・問屋から仕入れる

卸業者・問屋から仕入れる方法です。
卸業者・問屋を介せば、国内はもちろん海外の商品も取り扱いやすくなります。多くの商品を扱える上に、他のお店にはない商品を仕入れられる可能性もあります。

日本各地に問屋が集まる「問屋街」があるので、専門用語やルールなどを下調べしてから交渉に臨みましょう。

メーカーから直接仕入れる

商品を製造しているメーカーから、直接仕入れる方法です。
メーカーにメールや電話で連絡を取り、卸価格で購入できるか確認し契約を交わします。卸業者や問屋を通さずに直接取引するため、仲介コストがかからず安く仕入れられるのがメリットです。ただしショップ実績がないと断られやすく、発注単位が大きい傾向があるためまとまった資金が必要になる場合もあります。気になる商品があれば、メーカーに問い合わせてみましょう。

また展示会や見本市のようなイベントで、対面で担当者とやり取りする方法もあります。例えば日本最大級の総合展示会「東京インターナショナル・ギフト・ショー」や世界中からトレンドファッションアイテムが集まる「ファッション雑貨EXPO」など、各地でさまざまなイベントが行われています。

イベントに参加すると新商品をいち早くチェックできたり、一度に多くの商品を知れたりするのが大きなメリットです。メーカー・同業者とのパイプを作るチャンスでもあります。

ただし個人のネットショップは信頼を得にくいので、名刺やショップの案内を用意して本気度・魅力を伝えるようにしましょう。ある程度運営期間が長く、販売実績があるショップに向いている方法です。

東京インターナショナル・ギフト・ショー「東京インターナショナル・ギフト・ショー」
https://www.giftshow.co.jp/tigs/94tigs/ 参照:2022-2-21)

ファッション雑貨EXPO「ファッション雑貨EXPO」
https://www.lifestyle-expo.jp/ja-jp/about/fa.html (参照:2022-2-21)

クリエイターを見つける

個人で雑貨やアクセサリーなど、モノ作りを行っているクリエイターを見つけ仕入れる方法もあります。
ハンドメイドサイトなどに個人で出品しているクリエイターに連絡して、仕入交渉をすればショップコンセプトに合うオリジナリティ溢れる商品を販売できます。個人クリエイターの場合は、メーカーよりも柔軟に対応してもらえるかもしれません。メールで問い合わせてみましょう。

ドロップシッピングを利用する

ドロップシッピングと呼ばれる「売れたら購入者へ直接発送される」仕組みもあります。
通常の仕入れとは異なり、在庫を抱えないのが大きな特徴。ネットショップに商品を掲載して、購入されたらメーカーや提携業者から、消費者へ直接商品が送られます。ネットショップ側が在庫を持たなくて済むため、不良在庫を抱えるリスクや在庫管理の手間を省けるのがメリットです。
また発送の必要もないので梱包や集荷依頼、ラベル作成、発送手続きといった作業も必要ありません。在庫や発送作業にスペースを割かなくて済みます。

ただし仕入価格が固定されているため、価格競争になると利益が出にくくなるのがデメリットです。サービスの質を高めたり、商品の選定に力を入れたりと、価格以外の面での差別化が必要になります。SNSやブログ、動画で宣伝するなど、集客方法を工夫するのも手です。

ドロップシッピングは「DSP(ドロップシッピング・サービス・プロバイダ)」や「ドロップシッピングサイト」を利用することで始められます。販売方法に工夫がいるものの、在庫を抱えずに済むためリスクを最小限に抑えたい方におすすめです。

専門用語と仕入れ方法を覚えてネットショップを開こう

専門用語と仕入れ方法を覚えてネットショップを開こう
ネットショップを開こうと準備や下調べをしていると、上代や下代など聞き覚えのない専門用語が多く困惑するでしょう。しかし専門用語は、メーカーや卸業者と信頼関係を築く第一歩です。

一度に覚えようと思うと混乱するかもしれませんが、どれも難しい言葉ではありません。ネットショップ開業前に一つ一つ覚えて、メーカーや卸業者、同業者とスムーズにコミュニケーションできるようにしておきましょう。
また紹介したネットショップの代表的な仕入れ方法を参考に、すてきな商品を仕入れてみてください。専門用語を覚えていれば、自信を持って商談に臨めるでしょう。
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編集者 A

IKEHIKO CLIP メディアチーム

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